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ロコモティブシンドロームと腰部脊柱管狭窄症

骨や関節、筋肉の衰えが生じている高齢者が介護を必要とする状態になる「ロコモティブシンドロームと」。そして、腰部脊柱管狭窄症が原因となり引き起こされることもあります。ここでは、ロコモティブシンドロームと腰部脊柱管狭窄症の関係について詳しく解説します。

ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドロームは、骨や関節、筋肉などの移動機能を果たす運動器が何らかの原因によって障害されてしまう状態のことです。特に、運動器の衰えをきたしている高齢者に多く見られ、立つ・歩く・階段の昇降といった動きが難しくなります。

このような日常生活の動作がスムーズに行えないことから、転倒や骨折のリスクが高まると考えられます。その結果、介護が必要になる可能性があがるため、早期の発見が大切になるのです。

ロコモティブシンドロームは、日常生活に支障が出ている方だけではありません。気づかないうちに、ロコモティブシンドロームになっていることもあります。自覚症状がない場合や若い方でも、ロコモティブシンドロームの原因となる病気にかかっている方は注意が必要です。

ロコモティブシンドロームの原因

ロコモティブシンドロームの主な原因として、加齢による運動器の機能が衰えること、運動器自体に病気があることが挙げられます。

加齢による運動機能の低下では、四肢や体幹の筋力低下、関節の痛み、関節可動域の制限、全身の体力低下などが原因となります。一方、運動器の病気では、骨粗鬆症や関節リウマチ、変形性膝関節症、骨折、腰痛、肩こり、腰部脊柱管狭窄症などがあります。

このような原因で運動器の機能が低下すると、立つ、歩くといった動作だけではなく、バランス機能や瞬発力、感覚機能も低下するので怪我や転倒しやすくなります。また、自分の思うように全身が動かしにくく、家に閉じこもりがちになってしまうでしょう。

腰部脊柱管狭窄症も原因のひとつ

腰部脊柱管狭窄症は、腰部の脊柱管が狭くなり、内部に走る神経が圧迫されることで、腰痛や下肢に痺れ生じさせる病気です。主な症状には、しばらく歩いていると下肢に痛みや痺れを引き起こし、少し休むことでまた歩けるようになる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。

日頃から首や腰に負担をかける姿勢や動作をしていることで、症状が強くなったり悪化したりするケースもあります。さらに症状が悪化すると、排尿障害を引き起こすリスクも高まるため注意が必要です。

腰部脊柱管狭窄症の原因は、脊柱管が生まれつき狭い場合と加齢に伴う変化による場合が挙げられます。つまり、腰部脊柱管狭窄症により歩行が困難になると、ロコモティブシンドロームになってしまう可能性もあるわけです。

腰部脊柱管狭窄症は、保存的治療や手術治療で症状をコントロールしますが、ロコモティブシンドロームの場合は、原因疾患を治療することが大切になります。

早期発見が大切

ロコモティブシンドロームの原因には、加齢による運動器の衰えによるものが多くみられ、自分自身で運動機能の低下に気づくことが予防につながります。加齢に伴う骨や関節、筋肉などの運動器の低下は、毎日の運動習慣や体に負担をかけない姿勢、バランスの取れた食事、規則正しい生活習慣によって予防することが可能です。

また、腰部脊柱管狭窄症が原因となっている場合であれば、早期発見し治療することが大切になります。腰部脊柱管狭窄症による腰痛や痺れが改善されることで、移動機能への影響を抑えられるでしょう。そして、ロコモティブシンドロームの症状緩和や悪化予防につながると期待できるでしょう。