腰部脊柱管狭窄症ガイド HOME » 腰部脊柱管狭窄症のきほん知識

腰部脊柱管狭窄症のきほん知識

ここでは、腰部脊柱管狭窄症の基礎知識としてその症状と原因、治療法について解説しています。

腰部脊柱管狭窄症の原因と症状

腰部脊柱管狭窄症の症状として一番特徴的なのは「間欠跛行(かんけつはこう)」です。これは腰を伸ばして立っていたり歩いたりすると下肢に痛みや痺れを生じ、しゃがんで少し休んだりすると楽になり、また歩けるようになる状態をいいます。

腰部脊柱管狭窄症は腰部の脊柱管が狭くなり中の神経が圧迫されることによって起きますが、これが間欠跛行という症状となって表れます。さらに進行して悪化すると排尿障害を起こし、日常生活が辛くなります。

脊柱管が狭くなってしまう原因は生まれつき脊柱管が狭いというケースもありますが、多くは加齢に伴う変化によるものです。椎間板の膨隆や靱帯の肥厚、椎間関節にできた骨棘が神経の通り道を狭くしてしまうのです。

首や腰に負担がかかる動作を続けていたり、長時間前かがみや座りっぱなしの環境にいる人は進行しやすいと言われています。

治療法としては保存的治療と手術治療の2つがありますが、一般的に最初は薬物療法、理学療法、装具療法などの保存的治療が行われます。

保存的治療を数ヶ月続けても効果が無かったり、症状が重篤な場合は手術治療が検討されます。

手術は脊柱管を広げることで神経への圧迫を取り除くことを目的として、椎弓を部分的あるいは全部除去したり、インプラントで腰椎を補強したりします。

腰部脊柱管狭窄症は放置しておくとますます悪化することになるので、症状がある場合は早めに病院で診察することをおすすめします。

腰部脊柱管狭窄症の症状、原因、治療法についてはさらに詳しく解説していますので、症状が気になる、もっと知りたいという方は是非参考にしてください。

症状について

腰部脊柱管狭窄症は大きく分けて3種類に分けられますが、いずれも何らかの原因によって腰部の脊柱管が狭くなる病気です。腰痛や痺れなどが起こるほか、お尻から足にかけての下肢に症状が出ることが特徴です。

長時間歩行、あるいは直立の姿勢でいることで下肢が痺れたり、重くなったりといった症状が現れ、ひどい場合には歩行が困難になります。

この状態を「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼び、症状が進むにつれて歩行できる距離が短くなっていきます。

また、悪化するにつれて排尿障害や失便、便秘などが生じる場合もあります。

「症状について」の詳細はこちら>>

原因について

腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭まることによって痛みや痺れをきたすというものです。

原因としては先天性と後天性のものに分けられ、多くは加齢によって起こる変化によるものです。

加齢以外にも、すべり症と呼ばれる腰の骨のずれによって引き起こされたり、重労働を重ねることで腰部脊柱管狭窄症が起きることもあります。

腰に負担のかかる作業やスポーツなどを続けている場合、また前かがみや座りっぱなしなどの同じ姿勢を続ける場合には、放置していると悪化するおそれもあるため、特に注意が必要です。

「原因について」の詳細はこちら>>

検査について

腰部脊柱管狭窄症の症状は主に足の痺れや痛みなどですが、腰部のみではなく太もも、ふくらはぎ、足の裏など下肢のさまざまな部分に症状が出ることがあります。

30分程度の簡単な歩行すら困難になり、少し休むことで歩けるようになるというのもこの症状の特徴です。

症状の回復が見込めない、排尿障害があるといった場合には、問診と身体所見、レントゲン、CTなどの画像検査を経て、総合的な判断が必要になります。

検査のうち、動脈硬化によって血流障害が起き、閉塞性動脈硬化症と誤診される場合もあるため、多くの検査を並行して確実に症状を判断することになります。

「検査について」の詳細はこちら>>

治療について

腰部脊柱管狭窄症の治療は、重篤な状態でなければ症状が出てから数ヶ月間は保存的療法を行うのが一般的です。

症状が軽い場合は姿勢の改善や運動療法、鍼灸治療やカイロプラクティックなどを行い、痛みが出ている場合には薬物療法のほか理学療法、装具による治療を行い、経過を観察します。

薬物療法には硬膜外ブロック、神経根ブロックなど神経の痛みの出ている場所に局所麻酔を行う方法や、ステロイドを注入して知覚神経を麻痺させる方法があります。それでも効果がない場合には、手術治療が検討されます。

手術治療には椎弓を部分的に削る「開窓術」、椎弓をすべて除去する「椎弓切除術」のほか、金属やインプラントで腰椎を固定する方法なども行われています。

「治療について」の詳細はこちら>>

脊柱管とは

脊柱管は背骨に囲まれた管のことを指します。椎骨と呼ばれる骨が重なり合う中にできる一本の空洞部が脊柱管と呼ばれる部位になります。

脊柱管は、体の中でももっとも重要な神経組織である脊髄を守る硬い管のことで、中枢神経である脊髄が損傷を受けないように保護しています。

しかしこの脊柱管に異変が起きると、神経系にダイレクトにダメージが伝わってしまいます。脊柱管に異変を生じる代表的な症状として「脊柱管狭窄症」が挙げられます。

脊柱管狭窄症は腰部の違和感のほか、痺れや歩行障害などを引き起こします。

「脊柱管とは」の詳細はこちら>>

椎間板ヘルニアとの違い

腰椎椎間板ヘルニアは、激しい腰や足の痛みや足の痺れなどをともなう症状です。

腰の骨である腰椎に付属している軟骨(椎間板)が、何らかの原因によって正しい位置からはみ出してしまうことでヘルニアを発症します。

治療方法としては、1,2週間の安静、症状が重い場合にははみ出した部分を切除する手術が行われます。

腰部脊柱管狭窄症との見分け方としては、腰部脊柱管狭窄症の場合は前屈をすることで痛みが和らぎますが、腰椎椎間板ヘルニアの場合は前屈をすると痛みが増すことがあります。

また、腰部脊柱管狭窄症の場合は長時間の歩行で足が痛みやすくなりますが、腰椎椎間板ヘルニアは安静時でも足に痛みを感じやすいと言われています。

「椎間板ヘルニアとの違い」の詳細はこちら>>

閉塞性動脈硬化症との違い

閉塞性動脈硬化症は、腰部脊柱管狭窄症と誤診されやすい症状です。

長時間の歩行が困難となる間欠性跛行などがみられますが、原因は動脈硬化であるため、腰部脊柱管狭窄症とは異なっています。

血管障害を改善させるのが基本的な治療となり、動脈硬化につながる生活習慣なども改善しなければなりません。

腰部脊柱管狭窄症との見分け方としては、前屈をした時に痛みがあるかどうかがポイントとなります。

閉塞性動脈硬化症の場合は、前屈をしても足の痛みが治らず、また足の脈拍が振れないもしくは微小であるといった特徴もあります。

「閉塞性動脈硬化症との違い」の詳細はこちら>>

禁忌動作について

腰部脊柱管狭窄症になった場合には、禁忌動作と呼ばれる行動に注意が必要です。腰を反らせるような姿勢を取ると、脊柱管がさらに狭まるため、状態が悪化しやすくなると言われています。

また、下から物を持ち上げたり、高い場所から物を取る際にも、腰に必要以上の力がかからないように注意しなければなりません。

禁忌動作を防ぐためには、普段から少し前のめりになるような姿勢を続けるか、腰に負担のかからないような姿勢を取る必要があります。

椅子に座る場合は深く腰をかけ、クッションを置くなどして対策を取るようにしましょう。

「禁忌動作について」の詳細はこちら>>

腰部脊柱管狭窄症の予防法

腰部脊柱管狭窄症は腰痛や痺れなどを生じるトラブルですが、事前に予防をすることもできます。

腰の違和感や痛みを放置せずに、普段から姿勢を良くする工夫、運動によってインナーマッスルを鍛える、または筋肉が硬くならないように自分自身でストレッチを行い、血流を改善させるといった方法もおすすめです。

ウォーキングなどの運動をすることも血流改善にとって効果的ですので、無理のない範囲でできることを行うと良いでしょう。

「腰部脊柱管狭窄症の予防法」の詳細はこちら>>

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症の治療法は、手術も含めいくつかの方法がありますが、鍼灸による治療もおこなわれています。椎間関節部と椎間孔周辺に対して刺激を与え、痺れや痛みを取り除くといった方法です。

鍼灸治療では、体内に存在する痛みを感じさせないホルモン「内因性オピオイド」を増やす効果があるとされ、血行促進や自律神経を整える効果などもあるため、痛みを和らげる作用があるとされます。

また最近ではずれている椎骨を正常な位置に戻し、血流を改善させるカイロプラクティック、関節の動きを改善させる「AKA-博田法」なども治療に用いられています。

「腰部脊柱管狭窄症」の詳細はこちら>>

再手術について

過去の調査によると、腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた人の6.5%から18%に再手術が必要です。また、再手術が必要となる原因には、「術後に悪化した」「最初の手術で神経を圧迫する組織を十分に除去できていない」というものがあります。

術後に自然と悪化した場合はともかく、初回手術の除去不足に関しては、腕の良い医師と信頼できる病院を選ぶことで対処可能です。再手術のリスクを下げるためにも、最初から評判の良い病院を選びましょう。

「再手術について」の詳細はこちら>>

腰部脊柱管狭窄症と坐骨神経痛

腰部脊柱管狭窄症は、症状として腰部や足の痛みと痺れが挙げられます。その中でも、お尻から爪先にかけて痛みや痺れが生じている場合は、坐骨神経痛が現れていると判断できます。この坐骨神経痛は病気として診断を受けるものではなく、腰部脊柱管狭窄症という病気によって引き起こされる症状として考えられています。

そのため、坐骨神経痛を改善したい場合は、まずは痛みとなる原因疾患を見つけることが大切です。その原因疾患の治療と、日常生活における適切な動きやストレッチなどの指導を受けましょう。

「腰部脊柱管狭窄症 坐骨神経痛」の詳細はこちら>>

腰部脊柱管狭窄症のストレッチについて

腰部脊柱管狭窄症の痛みや痺れに対して、ストレッチや筋力トレーニングが効果的です。症状を緩和させるために、狭くなった脊柱管を広げるストレッチや、腹部周りの筋肉を鍛えるストレッチなどがあります。

日常生活においても、圧迫された神経をゆるめてあげる動作を身につけることが大切です。ちょっとした動作の工夫により、痛みや痺れの改善に効果を発揮します。自分の症状を観察しながら、毎日の生活に取り入れてみましょう。

「ストレッチについて」の詳細はこちら>>

腰椎分離症との違い

腰椎の後方部分にある椎弓が分離し、疲労骨折することで痛みが出てしまう病気「腰椎分離症」。主に、成長期の子どもが激しい運動をしたり、スポーツ選手が過度な負荷をかけたりすることで発症します。

初期の段階では、保存療法で骨を癒合させますが、痛みを我慢したまま放置していると分離が進行し、完治が難しくなるケースもあります。腰部脊柱管狭窄症とは原因や症状の出方などが異なるため、痛みが気になる場合は専門家に相談しましょう。

「腰椎分離症との違い」の詳細はこちら>>

腰椎すべり症との違い

腰椎すべり症は、腰椎がずれてしまうことで脊柱管が狭くなり、痛みや痺れの症状が出る病気。長時間の歩行や腰部の過度な負荷により、痛みが増す腰部脊柱管狭窄症とは異なり、身体の動きによって痛みを自覚することが違いです。

治療としては痛みに合わせて、薬物療法とコルセット装着による保存療法を行います。日常生活に支障をきたす場合は、手術になるでしょう。腰部脊柱管狭窄症とは原因や症状の出方などが異なるため、腰痛が気になる方はまずは専門家に相談してみてください。

「腰椎すべり症との違い」の詳細はこちら>>

腰部脊柱管狭窄症を早期発見するためには?

痛みや痺れが軽度の腰部脊柱管狭窄症では、ストレッチや筋力トレーニング、運動療法などで一定の症状をコントロールすることが可能です。一方で、症状が進行してしまった場合や保存療法で改善が見られない場合は、手術を検討することになります。

つまり、早期発見することで手術に至ることなく、症状を改善できるといえます。適切な対応を受けて上手に症状をコントロールすると、日常生活を苦痛少なく過ごせるようになるでしょう。

「腰部脊柱管狭窄症を早期発見するためには?」の詳細はこちら>>

ロコモティブシンドロームと腰部脊柱管狭窄症

ロコモティブシンドロームは、骨や関節、筋肉などの移動機能を果たす運動器が何らかの原因によって機能低下になった状態のこと。立つ・歩く・階段の昇降といった動きが困難になります。

主に、加齢による運動機能の衰えと運動器自体の病気が原因であり、腰部脊柱管狭窄症はロコモティブシンドロームの原因疾患でもあります。よって、腰部脊柱管狭窄症の早期発見は、ロコモティブシンドロームの予防にもつながるといえるでしょう。

「ロコモティブシンドロームと腰部脊柱管狭窄症」の詳細はこちら>>