原因から治療まで!腰部脊柱管狭窄症のパーフェクトナビ
腰部脊柱管狭窄症の治療には、リハビリを積極的に取り入れましょう。その必要性や具体的に実践すべきリハビリ内容を解説します。
人間の中枢神経、脊髄に関わる重大な病気である腰部脊柱管狭窄症。治療後にもリハビリを行うことで、病気と向き合っていく必要があります。
手術をした場合であれば、早期の機能回復や再発防止への効果に期待でき、また、保存的療法をとった際にも、症状の悪化を未然に防ぐことができます。
リハビリの効果は、狭窄部位の圧迫を和らげるだけでなく、血流の改善による痛みの軽減など、さまざま。取り入れない理由はありませんよね。
絶対に症状を悪化させない、という強い意志でリハビリ療法を行うことが、腰部脊柱管狭窄症の治療において大切なことだといえます。
代表的なリハビリには、次のようなものがあります。
腰部脊柱管狭窄症の治療では、腰に負担をかけない姿勢をとることが基本となります[1]。
手術後、腰が痛いからといって前に腰を屈めた姿勢をとっていると、椎間板や椎体などに負担をかけ、他の腰痛を引き起こしてしまいます。
骨盤が前に倒れないように、脊柱を真っ直ぐにして立つことを心掛け、逆に背中が反りすぎないように注意します。あごは自然に引き、前かがみになりすぎたり、逆にあごを引きすぎないようにしましょう。
歩行の際は前かがみになりすぎないように、骨盤を軽く後傾させて、脊柱を正しながら歩くようにします。
自力で正しい歩行ができない場合には歩行補助具などを使うこともできるので、腰への負担のかからない姿勢を心掛けてみてください。
腰部脊柱管狭窄症には、むやみな運動は禁物。かえって腰の負担を増やしてしまう可能性があります[2]。
症状が軽度な場合、もしくは手術後などに回復に向かっている場合には、筋肉の柔軟性を高めて痛みを軽減するストレッチ運動が有効です。
ストレッチなどの運動療法は、筋力の増強や腰部の安定化が期待できるため、毎日続けることが大切です。
簡単な方法としては、うつぶせに寝て5分から10分キープし、そこから上半身を起こして両ひじを90度に立てます。
この状態を5分から10分続け、その後腕立てふせを10回程度行います。腰から下はつねにリラックスさせた状態のまま。上半身だけを動かすことがポイントです。
このストレッチは、ふだん前屈に近い姿勢を取り続けることで脊柱の伸展制限が生じていることへの改善に着目したもので、腰椎の前弯を獲得し、腰への負担を軽減させることができます。
腰部脊柱管狭窄症の予防と改善には、簡単な体操も効果的です。
特に、腰部脊柱管狭窄症を原因とする坐骨神経痛に悩んでいる方は「ウイリアムスの腰痛体操」がおすすめ。
仰向けで横になり、両手で膝を抱えて胸のほうに引き寄せる動作を1セット10回ずつ、朝から夜にかけて2セットもしくは3セットずつ行い、2週間継続を目安に続けます[3]。
腰を曲げる姿勢は神経の圧迫を和らげるため、腰を少し屈めた状態をつくるだけでも神経がリラックスしやすくなります。
腰を屈める体操であれば、上記以外の方法でも有効です。痛みやしびれがなくても、腰のトラブルが再発するのを防ぐため、適度に休みをとりながら毎日適度に体操を続けることをおすすめします。
エクササイズではなく、負担をかけない優しい体操で、腰にゆとりを持たせてあげましょう。
腰部脊柱管狭窄症の予防には、脊柱にかかる負担を減らすために腹筋を鍛える運動が有効です[4]。
筋力トレーニングは、腹筋など脊柱への負担を受け止める筋肉を鍛え、体幹を強くして曲がりにくい背筋をつくるために欠かせない運動です。
インナーマッスルと呼ばれる、横隔膜や腹横筋などの部位を鍛えると、脊柱への負担を分散して痛みやしびれを緩和させることができます。
仰向けに寝た状態で、簡単な腹式呼吸を10回程度行うところから始め、徐々に可能な範囲で腹筋を鍛えていきます。
腰に負担がかからないよう、バランスボールに脚を乗せて腹筋を行う方法などがおすすめです。
筋力トレーニングは理学療法の一種としても用いられているもので、無理に力をかけるとかえって症状が悪化してしまう可能性も。治療中や手術後すぐの方は、医師や療法士の指示にしたがって行うようにしましょう。
ウォーキングは一日20分から30分程度で有酸素運動としての効果が生まれ、脂肪の燃焼・体重減少(ダイエット効果)などが期待できる運動です[5]。
腰部脊柱管狭窄症の予防や改善には、低強度の有酸素運動が効果的とされています。特にウォーキングは足腰などの下半身を鍛えられるだけでなく、体内で「内因性オピオイド」という物質が分泌され、脳科学的に痛みを抑える作用が期待できます。
ウォーキングは、ある程度自力で歩行ができる方に向いているリハビリ方法です。腰部脊柱管狭窄症の症状が比較的軽度、もしくは回復に向かっており、歩行が可能であれば積極的に行いたいところです。
下肢の筋肉を鍛え、運動不足を解消する効果があるため、途中休憩をはさむなどしてこまめに歩くことをおすすめします。
【参考URL】
参考[1]:『脊柱管狭窄症の 日常生活動作方法 』吉祥寺千賀整形外科
参考[2]:『腰椎疾患に対するリハビリテーション―運動療法とセルフトレーニングを中心に―』J-Stage
参考[3]:腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛用のメニュー