再手術について

手術台

ここでは、腰部脊柱管狭窄症の再手術について解説しています。

手術におけるリスク

腰部脊柱管狭窄症の再手術が必要になった場合のリスクは、

  • 合併症に感染する可能性
  • 手術そのものに失敗する可能性
  • 手術侵襲が大きいため体に負担がかかる

といったものです。まずは、各リスクを詳しく見ていきましょう。

合併症の感染リスク

「腰部脊柱管狭窄症の再手術」といっても、何か特別な施術を行うわけではありません。腰部脊柱の除圧を行うため、除圧術か除圧固定術のどちらかを脊柱の状態に合わせて行います。どちらの施術も体に傷跡を作ることになるため、当然傷口から感染症にかかってしまうリスクがあるのです。

もちろん、手術後は抗生剤等を使って術後感染の予防に努めます。しかし、高齢者はそもそも体の抵抗力や免疫力が低いため、傷口から細菌が入ることで感染症になるリスクを100%防ぐことはできません。

また、再手術をするため、ベッドで安静にしていたことによって血栓ができて血管が詰まり、肺梗塞等を起こす可能性もあります。

手術そのものに失敗する可能性もある

再手術のリスクとして、忘れてはならないのが手術の失敗です。腰部脊柱管狭窄症の除圧術は、重要な神経が通っている脊柱の肥大した箇所を除去することで神経の圧迫を解除します。

再手術をしても、肥大部分の除去が不十分なら体のしびれや痛みが再発してしまいますし、削り過ぎれば神経を傷つけてしまうのです。

手術の失敗リスクは、担当医の腕次第。腰部脊柱管狭窄症の再手術は実績のある病院で受けることをおすすめします。

除圧固定術は除圧術よりも手術侵襲が大きい

手術にかかる時間や手術中の出血量、骨がくっつくまでの期間等をまとめて表現する専門用語が、「手術侵襲」です。除圧固定術は除圧術よりも手術時間が長く、出血量も多い(手術侵襲が大きい)ため体に負担がかかります。

再手術後にもとの生活に戻るまでの期間が長引くと、床ずれを起こしてしまったり、排尿機能が衰えたり、歩く力に影響が出てしまったりするリスクも出てくるでしょう。

再手術しなければならない場合について

2006年に発表された腰部脊柱管狭窄症の再手術に関する研究によると、腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた後に再手術が必要になるのは、

  • 最初の施術で十分に除圧できていなかった
  • 術後に圧迫が強まった

場合だったとされています。[注1]

研究で紹介されていり再手術率は、全体の6.5%から18%。[注1]

2013年に発表された同様の調査でも、腰部脊柱管狭窄症の除圧術を受けた1,098名中、約6%にあたる75名が実際に再手術を受けているという結果になっています。[注2]

つまり、腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた人は、誰でも再手術の対象になる可能性があるのです。

ただ、「最初の施術で十分に減圧できていなかった」というケースに関しては、はじめから施術の上手な病院を利用していれば、再手術が不要だった可能性もあります。

[注1]日本脊髄外科学会:腰部脊柱管狭窄症に対する再手術例の検討[pdf]

[注2]日本脳神経外科コングレス:腰部脊柱管狭窄症再手術例の検討[pdf]

再手術の症例

腰部脊柱管狭窄症の再手術を受けた人は、実際どのような症例だったのかを見てみましょう。

除圧不足によって再手術が必要になった症例

腰部の除圧術を受けてから1年8ヶ月後に、再び「腰痛と下肢痛がつらい」と来院したケースです。この患者の場合、前回の手術で除圧が不十分だったために、神経を圧迫する組織が残っており、施術した箇所より上にある脊柱管が狭窄していました。

幸い、再手術によって除去しきれていなかった圧迫部を取り除いたことで腰痛や下肢痛は改善しましたが、最初から除圧できていれば一度の手術で十分だった可能性は十分あります。

再手術のリスクを下げるために病院を厳選しよう

腰部脊柱管狭窄症は、除圧術を受けても6.5%から18%の人に再手術が必要になる症状です。ただし、再手術が必要になる要因には、「最初の手術で神経を圧迫している箇所を取り除けていなかった」というものが少なくありません。

除圧術にしろ除圧固定術にしろ、神経を圧迫している組織をどこまできれいに取り除けるかは担当医の腕にかかっています。再手術には感染症等のリスクもあるので、腰部脊柱管狭窄症の手術を受ける場合は信頼できる病院を吟味しましょう。

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